労災保険とは、労働者が業務上または通勤途上で病気やケガをした場合やそれが原因で障害や死亡が起こった時に補償されるという事になっていますが・・・・
業務中、通勤途上であれば、すべてが認められるというわけでないのです。
一度、確認してみて下さい。
病院

■通勤災害と認められる範囲とは
1.通勤とは、労働者が仕事をするために自宅と会社の間を合理的な経路と方法で往復することをいい、この合理的な経路を外れた場合は、通勤とされません。

2.通勤途中に通勤行為を中断して何か違う行為をするとその間とその後の通勤を再開した期間も通常、通勤とされず、補償の対象にならなくなります。

3.通勤途中の日常生活上やむを得ない“”労働省令で定められている”必要最小限のもののみ中断を終え通勤を再開した期間は、通勤と認められます。
※経路の近くにある公衆トイレを使用したり、短時間休憩したりする程度、日用品の購入、選挙権の行使、病院での診察、親族の介護など

4.災害(労働者が被った傷病等)が通勤災害として保険給付の対象となるためには、さらに、通勤と災害との間に相当因果関係がなければなりません。
※被災者の故意によって生じた災害やケンカなど通勤していることが原因でないことは認められません。

5.通勤途上のケガや病気は、労働基準法の業務上の事故の補償の対象にはならず、通勤災害の待機期間は会社の補償は受けられません。

6.通勤災害と認められ、休業した場合は、休業給付が受けられます。

■業務災害と認められる範囲とは
1.業務が原因となった災害であり、業務と傷病等との間に一定の因果関係がないといけない。(業務起因性)
①労働の場における有害因子の存在:有害な物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業態様、病原体等。
②有害因子へのばく露条件があったと認められる場合。
③発症の経過及び病態:有害因子のばく露開始後の発症したもの、医学的にみて妥当であること。

2.事業主の支配・管理下で業務を遂行中に、その業務に関して被災したと認められる場合でないといけない。(業務遂行性)
事業主の管理下を離れていても、労働契約に基づいた事業主の命令を受けた仕事をしているときは事業主の支配下にあることになります。

(認められない場合)
①被災労働者が就業中に私用(私的行為)又はいたずら(恣意的行為)をしていて、その行為が原因となって災害が発生した場合
②労働者が故意に災害を発生させた場合
③労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合
④休憩時間や就業前後は実際に仕事をしているわけではない場合

3.労災と認められて療養のため働くことができないときは、3日間の待機期間を経て「休業補償給付」が支給されます。
※待機期間は、事業主が労働基準法で決められた平均賃金の6割を補償しなければなりません。

参考:労災保険は、従業員1名以上で強制加入って知っていますか?