中小企業の管理部門に必要なことって?

中小企業の管理部門の仕事(経理、総務、人事、法務等)の考え方ややりがいについて、中小企業・ベンチャー企業の
プレイングマネージャーとして30年近く働いてきた経験の中での役立つ知識、失敗談なども交えて紹介したいと思います。

法務

目次:法務

■カテゴリ:法務内の記事の目次です。

『法務』って何をするのでしょうか?

収入印紙はちゃんと貼っていますでしょうか?

収入印紙を貼り間違えたらどうするの?

契約書を読むのが眠くなくなる方法?

商標登録を電子申請しましょう!

契約書の合意管轄裁判所を不利にしないためには?

請負、基本、委託、受託、委任、それぞれの契約書の意味と印紙は?

ソフトウェア開発など・・・瑕疵担保責任、チェックしていますでしょうか?


ソフトウェア開発など・・・瑕疵担保責任、チェックしていますでしょうか?

中小企業は、大きな会社みたいに専属の法務部なんてない会社が大半なので、取引先との契約書の締結など管理部門のお仕事だと思います。

契約書②

そこで、ついつい大手から来た契約書だと「相手は、大手だし・・・間違いないだろう」とか「どうせ何か言っても聞いてもらえないだろう」なんて、チェックをあきらめていないでしょうか?

でも“瑕疵担保責任”は、どれくらいの期間になっているのか?チェックしてみて欲しいと思います。

特に商品の売買などで代替え品と交換で済むのではない、ソフトウェアの開発会社などは、瑕疵担保責任と損害賠償の限度額をきちんと定めていないと会社存続にも関わってしまいます。

■民法の規定と言われていませんか?
請負契約の瑕疵担保期間で、委託側からくる契約書では、民法第637条(請負人の担保責任の存続期間)として「仕事の目的物を引き渡した時から1年以内」と定められていることから、1年と記載してくるものが多いのではないでしょうか?

■相応の対価を求めるか?
でもそうであれば、異議を唱えてください。
ソフトウェアの開発などシステム開発では、情報システムの規模や対価によって、納品後ただちに何日以内に検収することとなっていますし、委託側が出してきた仕様の前提条件が不明確で瑕疵に該当するということで判断が難しいこともあります。
長期間に渡って瑕疵担保責任を求められると負担も大きくなります。
その負担分の対価を求めて交渉してみるのも手です。

■商法の規定を説明してみてください。
ソフトウェアの開発などは、一般個人との取引でないと思われますので、商法第526条(買主による目的物の検査及び通知)として「買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」「売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6カ月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」という内容があります。

ただ商法はこうであっても、これは当事者が任意で決められる条項となっていますので、申し入れとして「6カ月」と定めて欲しいと依頼して下さい。
大体は受け入れて頂けると思います。

また民法の無過失責任とすると過大な責任を負うことになりますので、「ベンダの責めに帰すべきと認められた瑕疵に限り」として、曖昧な仕様や他の製品と構成されているなどで特定が困難な場合を想定した文言を入れるようにして下さい。


請負、基本、委託、受託、委任、それぞれの契約書の意味と印紙は?

管理部門は、契約書の扱いも多いと思いますが・・・
契約書に貼る印紙って、ややこしいですよね。
特に間違いが多いと思われる契約書の注意点を!
契約書


契約書の意味と印紙の種類を確認してください。

1.契約の意味
【請負契約書】・・・業務を完成させ、その結果に責任を持つという契約です。

【基本契約書】・・・「売買取引基本契約書」や「特約店契約書」「代理店契約書」「業務委託契約書」など継続的に生じる業務委託取引に関して、共通した規定をもうける契約書のことをいいます。
それぞれの取引により詳細部分で別途必要な事柄は、「個別契約」や「注文書」「請書」などで補います。

【委託契約書】・・・個別の業務を依頼してその内容に適用させる規定をもうけます。
※仕事を依頼する側からの内容(受ける側からは「受託契約書」)
※契約書の内容によって、結果を求めている「請負契約」なのか、業務の遂行を求めている「委任契約」なのかが、分かれます。

【委任契約】・・・依頼された業務内容を遂行しますという契約で、「請負契約」のように結果に対して責任を負うのではなく依頼された業務をやることそのものを言います。

2.印紙の種類
①「請負契約書」で、継続する請負契約で金額の記載がない場合(7号文書)は、4千円ですが、単発(一つの取引)の請負契約で金額の記載がない場合(2号文書)は、200円です。

②「請負契約書」で、継続する請負契約で金額の記載のあるもの(2号文書)の注意点は、「保守契約」などの場合で、月額記載のものは、<月額×契約期間>の金額に該当する金額に対応する印紙が必要です。

例:月額10万円の保守契約を1年の場合は、契約書記載金額は10万円だけど
“記載された契約金額が1万円以上100万円以下のもの 200円”ではなく、
10万円×12か月=120万円で、
“記載された契約金額が100万円を超え200万円以下のもの 400円”になります。
※自動更新の定めがあっても、当初の契約期間で計算します。

記載された契約金額が1万円未満は、非課税です。
その他は、印紙税額表の2号文書の金額になります。

③契約書のタイトルが「基本契約書」でなくても、継続する契約書で、契約金額の記載がないもの(7号文書)は、4千円です。

④「基本契約書」であっても契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは、不課税になります。

上記のように契約書のタイトルより書かれた中身や条件によって、印紙税は2号文書や7号文書と判断され、金額も結構変わってくるので、気をつけてください。
★印紙税額(平成28年5月現在)

またこの印紙税は、税務調査の時に結構見られます。
私も一度、1枚貼り忘れがあり、指摘を受けてしまいました。。


契約書の合意管轄裁判所を不利にしないためには?

契約書を締結すると最後に裁判所の『合意管轄』に関する条項が設けられている事が多いと思います。
ちゃんとチェックをしているでしょうか?
管理部契約書

ここを見過ごして、いざ裁判となった時に不利にならないように締結段階で見ておきたいと思います。
この条項でよくみられるのが、以下の1,2のような内容ではないでしょうか?

1.甲及び乙は、本契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

2.甲及び乙は、本契約に関し訴訟の必要が生じたときは、甲の本店所在地を管轄する裁判所をもって第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

契約を交わす甲と乙の会社の場所が、近い場合は問題ないのですが、例えば東京と大阪であれば、大阪の会社からすると“1”のように「東京地方裁判所」と定められていると不利になってしまいます。
※契約書を作成した会社が東京で裁判をするのが有利な場合、このような条項になります。

また“2”も同様ですが、乙にとっては、不利な内容となっています。
これは、契約書を作成した会社が自分の会社にとって有利な条件を定めるので、この契約書をチェックして、この『合意管轄』を自社に有利な裁判所や乙の本店所在地を管轄する、として欲しいと修正の依頼をしても、「はい、わかりました」という事にはなかなか、ならないと思います。

だからと言って、この条項が自社に不利であるという事で、他の条項で合意しているにも関わらず、いつまでも契約が締結できないという事も双方にとって好ましくありません。
・・・という事で泣く泣くこのような不利な内容で締結していることもあるようです。
(契約書は相手との力関係もあり・・・)

そこで、相手に有利なこのような条項を出された場合は、以下の手順で相手と交渉して下さい。

1.まずは、当方の主張である自社の管轄裁判所に変更の依頼を一応してみる。
※ほぼ無理ですが、場合によると先方の対応できる支店があるなどOKになるなんてことがあるかもしれません?(ないと思いますが・・・)

2.1の修正を断られたら、次の文言で修正を依頼して下さい。
(準拠法および管轄裁判所)
甲および乙は、本契約に関し紛争が生じた場合は日本法を準拠法とし、かかる紛争については被告の本店所在地の地方裁判所を第一審の専属的管轄裁判所とすることに合意する。


これであれば、裁判になる前からどちらかが有利、不利で裁判が始めやすいや、始めにくいという事より、被告(訴えられた側)の管轄ということで、よほどでない限り訴えるより話し合いで解決をしようということにもなると思います。

また「本店所在地の地方裁判所を第一審の専属的管轄裁判所とする」とした場合に相手が外資に買収や吸収合併された時に困るので「東京地方裁判所」などのように地名を明記して欲しいという会社もありますが、「日本法を準拠法」という文言を入れる事で納得頂けると思います。

これで断られた事はありませんので、先方も本当に契約を望んでいるのならこれで大丈夫だと思います。

ブロトピ:ブログ更新しました

商標登録を電子申請しましょう!

会社名や店舗名、商品名、運営しているサイト名など商標登録していますでしょうか?
新しく会社をおこした時に会社名を決めるのに平成18年4月までは、同一市町村内で同一の営業目的の会社では、同一の社名がつけられなかったため類似商号調査が必要でした。
そのため自社名で使っているものの権利については、安心していたところもあったかもしれませんが、自社がいくら登記している社名であったとしても、別の会社がそれと同一かもしくは類似の名称で商標登録するとその権利の侵害で訴えられる可能性はあります。

まして、今は類似商号の規定も撤廃されたので、より商標登録によって自社名や店舗名などを守る事を考えなければと思います。
ブランド戦略が大切になってきています。

商標登録がされているかどうか?の調査も特許庁の商標検索ページで簡単に調べる事もできますし、登録の手続きも電子申請で簡単にできるようになりました。
★特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage#
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