中小企業の管理部門に必要なことって?

中小企業の管理部門の仕事(経理、総務、人事、法務等)の考え方ややりがいについて、中小企業・ベンチャー企業の
プレイングマネージャーとして30年近く働いてきた経験の中での役立つ知識、失敗談なども交えて紹介したいと思います。

経理・財務

部門別や店舗別の損益を出してみましょう!

店舗ごと

実際に部門ごとや店舗ごとに儲かっているのかどうか?と各部に共通した業務をしている管理部門や間接部門、そして全社的な業務をしている役員等管理職に係る費用を含め売上目標はどれくらいが妥当なのか?
それは、それぞれの損益を出すのが有効です。

部門ごとの損益の出し方は、その部門で直接数字が出せるものは、簡単ですが、管理部門の費用などどうすればいいのでしょうか?

◆それぞれの算定基準を決めて、按分する方法
例えとしてサンプル〇☆株式会社の10月の損益を見てみます。

部門ごと損益計算書
★部門ごと損益計算書Excelサンプルデータダウンロードはこちらから

この会社は、役員2名、従業員10名でその内訳は、管理部門2名、営業1と営業2が4名ずつです。
この営業1と2の部門別損益を出します。

①売上高は、それぞれの部の売上高がわかるので、それぞれに振り分けます。
②売上原価は、同じ商品を販売しているということで、売上の比率で売上原価を振り分けます。
③役員報酬は、管理部門とします。
④給与手当もそれぞれの部門の実際の数字がわかるので、実数でふりわけます。
⑤福利厚生は、人数の比率によりかかる費用を振り分けます。
⑥旅費交通費、交際費、会議費は、それぞれ精算をしてきた人の部門に振り分けます。
⑦運賃は、売上比で振り分けます。
⑧通信費、保険料、消耗品費、租税公課、減価償却費、雑費のように共通で使ったりするものは、まず管理部門費とします。
⑨賃借料(事務所家賃)は、利用している面積で振り分けます。
※上記、実数でなく按分しているもので、実際には実数で振り分けられるものがある場合は、実数振り分けて下さい。
※上記、実数としているもので実数が出しにくいものや実数を出すと煩雑になるものは、人数や利用面積、売上比率などの比率で振り分けるか?もしくは一旦、管理部門費にして下さい。
⑩上記、売上・売上原価・経費の振り分けが済んだら、そこでまず営業1と2の部門内だけの営業利益を出します。
⑪全社共通として管理(間接)部門費がいくらあるのか?も出したところで、この費用を営業1と2へ按分します。売上の比率もしくは、粗利の比率などで振り分けて下さい。
※もしくは、当初よりどこの部門は管理部門費を〇%など比率が予算で決めてあれば、その数値で振り分ける方法もあります。
⑫最終の各部門の損益がでます。

このように部門ごとや店舗ごとの損益の目標や予算と実績の比較・管理をして、またどれくらい利益を上げないと全社的な共通費をまかなっていく事ができないのか?などを見て行くといいと思います。

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毎月の費用を正しく把握するには、前払、未払、仮払いをちゃんと計上しましょう。


請求書

会社の経費の支払いは、必ずしも毎月月末に請求書が来て、翌月末に支払うものばかりではなく・・・
年払いや半年払いのもの、前払のものや後払いのものなど様々です。

でもそれを全部、“現金主義”で処理してしまうと正しくないだけでなく、やはり自分の会社を運営していくのに毎月、一体いくら経費がかかるの?という事がわかりにくくなってしまいます。
支払い方は色々でも費用自体がこれは、いつの(何月分の)経費なのか?を把握して計上する“発生主義”で計上したいものです。

発生主義の注意点
1.計上もれが起こらないようにする。
①年払いや半年払いなどまとめて払うものは、まとめて各月の計上をしておく。
例えば、弁護士報酬を半年に一度支払う場合。
請求書:8月末に9月~2月分 1か月5万円×6か月分 30万円、支払期限9月末できた場合
・9月末仕訳
支払報酬 5万円 / 現預金 30万円
未払費用 25万円 /
  ↓この仕訳と同時に
10月末付け、11月末付け、12月末付け、1月末付、2月末付けの5つの仕訳も入力しておきます。
支払報酬 5万円 / 未払費用 5万円
※科目は、支払手数料とかその他、自社でお使いの科目で。

②チェック表を作って毎月、会計入力時は、チェック一覧で入力済みのものを消し込んでいく。

会計入力チェック表

★Excelサンプルデータダウンロードはこちらから

③期をまたぐ長期の前払等に注意する。
例えば、事務所や社宅を借りた時の退去時に戻ってこない礼金や保証金の償却費用は、長期前払費用として繰延資産となりますので、契約期間もしくは、契約期間の定めがない場合は、5年で毎年償却していくことになります。
同じように保証協会の保証料など。
※期間の決まっているものは、その期間で償却します。
参考:“借入金は、保証料も合わせて比較していますでしょうか?”

2.請求書が来るのが遅いものなどがある場合は、暫定や概算、洗い替え処理などで対応して、試算表(月次決算)の作成が遅くならないようにする。
参考:“経理の洗い替え処理とは?”

3.毎月の費用の増減で、特に数字が多かったり少なかったりしたら、重複計上などしていないか?確認する。
※計上モレがないように気にして、二重計上することがあるので、これも注意です。

ちゃんとチェック表で確認するという“しくみ”にしておけば、間違いは起こらないので、そんなことーってバカにしないでやってみて下さい。

予算の立て方:1.売上の予算を立てる時に過去の数字を参考にする方法

中小企業が安全に成長していくためには、やはりある程度の規模になれば、どんぶり勘定ではなくて、計画が必要です!

企業の成長

管理会計を導入して、予算を立てます。
予算の立て方には、いくつか方法がありますが、本日はまず売上の予算の立て方について参考にして頂きたいと思います。

1.損益分岐点を利用して、売上原価や必要経費の額からたて始める方法。
参考:“管理会計のための知識7:損益分岐点”

2.具体的に各部門や各店舗で売上目標を立ててもらって、その数字を上げてもらって売上の予算を立てる方法。

3.会社側からある程度の総額の予算を出す場合で、「損益分岐点もよくわからないし・・・来期の売上の予想なんて全くわからない・・・」という場合は、過去の数字を参考にして目標を立ててみます。
・・・ということで本日は、

◆3の方法で売上予算を立てる!

1.まず、過去3年~5年くらいの月次の売上高を一覧にしてみましょう!
売上高5年推移表

★売上高5年推移表Excelサンプルデータダウンロードはこちらから
※『5年売上高・比率推移表』のピンクのセルに数字を入れてもらえれば、連動するようになっています。→『5年売上高推移表』と『5年度内比率』の表とグラフ

2.一覧で、以下の点をみてみます。
①前年度からの伸び率は、どれくらいか?
サンプルの表だと2012年から2013年、2014年は、ほぼ横ばいですが、2015年は、102%、2016年は103%、次期も勢いがありそうなら、総額で104%にしてみるとか、少し勢いが鈍化してきたようなら、前年と同程度の成長を目標とするなど。

②毎月の売上高の年間の売上に締める割合は、どれくらいか?
繁忙期や閑散期があるのか?どうか?
サンプルの企業では、2月の売上が悪くて、12月と決算期の8月がいいという傾向があります。
※売上高と年度内の比率からグラフにすると傾向は見やすくなります。
(下記、グラフ)

③急激に伸びている年や落ち込んでいるなど、かけ離れた数字があるところは、何らかの原因があったと思われるので、そこは省くなど調整をします。
また最初の2年の伸び率が大きく次の3年の伸び率が少ないのであれば、3年の平均にするなどできるだけ予想値が現在の状況を反映できるようにします。

【売上高をグラフにしたもの】
売上高5年推移表②

【年度内比率をグラフにしたもの】
売上高5年推移表③

3.傾向が読み取れたら、来期の総額の売上目標を各月の年度に締める比率を当てはめて、予算数字にしてみます。
サンプルを例としてみると。
①2016年9月~2017年8月までの売上の総額の目標を104%とする場合
前年度より104%増 → 13,652万円×104%=14,198から 14,200万円
②サンプル企業は、グラフからみても急激な変化をしている年はなく緩やかな伸び率なので、年度内の比率も5年間の平均を使います。
9月は、8.5%なので、年間予算の14,200×8.5%=1,207万円
10月は、8.3%なので、14,200×8.3%=1,178万円 という感じです。

4.売上原価は、年間の平均の原価率を出して、3で出した毎月の売上予算に原価率をかけた数字を売上予算とします。

これで、総利益額がでるので、総利益額から労働分配率や経費の金額を考えていくと予算は立てやすいと思います。
参照:“労働分配率を意識していますでしょうか?”
①総利益額の金額で経費を収めるように立てる。
②総利益額で経費が収まらないのであれば、売上の総額を104%増でなく105%増などに見直しますが・・・・
→先に売上増を見込むのは、怖いので、はやり収まるように経費を見直した方がいいと思います。

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従業員への貸付金は、条件があるの?契約書や書類は必要?

従業員からお金の借入の相談がある事があります。
そんな時、どうすればいいのでしょうか?
対応方法や必要な書類を用意してみました。
貸付金

■対応方法
1.ただ相談された金額を貸す、という事では、先々の事を考えると・・・
では、従業員みんなが貸して欲しいと言った時に全員に貸せるのか?
「あの人は、借りられたのに自分は?」など問題になっても困るので、ルールを作っておけばと思います。

(ルールの内容)
①正社員で勤続年数〇年以上など
②貸付の上限額、職位や年収に対してなど(返済可能額)
③返済期間〇年以内など
④目的を就業の都合に良いように引っ越す資金や教育費用、資格取得、怪我や病気、出産費用など娯楽目的ではないことなど
⑤担保または、連帯保証人の必要の有無
⑥再借り入れは、総額でいくら以内もしくは、先の返済が終了するまでは不可など

2.上記ルールを従業員の過半数以上に承認された「従業員貸付制度」として労使協定を結ぶことができたら、返済金のお給料からの天引きが可能となります。
 (返済をお給料から天引きすることを盛り込む)
※労働基準法17条により禁止されていますが、協定があると可能となるため
(前借金相殺の禁止)
第十七条  使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

但し、借金のかたに労働する条件がなく、本人から天引きの申し出がある場合は可能です。

3.貸し付ける時は、『金銭消費貸借契約書』を締結します。
金銭消費貸借契約書
★「金銭消費貸借契約書」Wordサンプルデータはこちらから

①第2条で返済方法を“甲へ持参又は送金して支払う。”としていますが、上記の「従業員貸付制度」として労使協定を結んだ場合は、
“給与より天引きにて支払う”と修正すればいいと思います。
また本人が、「お給料を銀行からおろしてきて払うのが面倒くさいので天引きにして下さい」という事であれば“本人の申し出により給与より天引きにて~~”と修正すればいいと思います。

 ②第3条の金利について、国税庁より
「No.2606 金銭を低い利息で貸し付けたとき」として
[平成28年1月1日現在法令等]
 役員又は使用人に低い利息で金銭を貸し付けた場合、平成26年以後の貸付けについては、その利率が貸付けを行った日の属する年の特例基準割合による利率以上であれば、原則として、給与として課税されません。
 平成27年以後の特例基準割合による利率は1.8%ですが、1.8%に満たない利率で貸付けを行った場合、次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合を除き、1.8%の利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。

(1) 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(2) 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
(3) (1)及び(2)以外の貸付金の場合で、1.8%の利率と貸し付けている利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合

なお、平成14年1月1日から平成18年12月31日に貸付けを行った場合には4.1%、平成19年1月1日から同年12月31日に貸付けを行った場合は4.4%、平成20年1月1日から同年12月31日に貸付けを行った場合は4.7%、平成21年1月1日から同年12月31日に貸付けを行った場合は4.5%、平成22年1月1日から平成25年12月31日に貸付けを行った場合は4.3%、平成26年1月1日から同年12月31日に貸付けを行った場合は1.9%が適用されます。

 ただし、会社などが貸付けの資金を銀行などから借り入れている場合には、その借入利率を基準として計算します。
 また、使用人に対する住宅資金の貸付けを平成22年12月31日までに行った場合には、年1%の利率を基準とする特例があります。

国税庁 No.2606 金銭を低い利息で貸し付けたとき
となっていますので、上記通達の内容に合わせて決めて下さい。

③その他、連帯保証人が必要など・・・追加、修正があれば変更下さい。

4.「金銭消費貸借契約書」と一緒にその第2条の『借入金返済表』も作成して渡します。
借入金返済表

※入力欄、氏名・借入日・借入額・金利・返済開始日・返済回数
※入力不要セルには、保護をかけていますので、修正が必要な場合は、
【校閲→シート保護の解除】パスワード空欄にて、保護を外して修正して下さい。
★「借入金返済表」Excelサンプルデータはこちらから

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借入金は、保証料も合わせて比較していますでしょうか?

中小企業の借入は、銀行が保証協会つきのものを勧めてくることが多いと思います。
この時に借入金利と別に保証協会の保証料も合わせて、金利の条件を見ているでしょうか?
借入金

■銀行が融資の提案で出してくる数字は?
仮に1,000万円借り入れたい時に
・金利 1.7%で保証協会
・保証料 63,250円
と言われた場合に保証料は、先に借入金から引かれて払ってしまうので、以降毎月返済額と共に請求される金利に目がいきがちです。

でも実際は、先に払おうが保証料も合わせて、他にプロパーでの借入が、1.8%と言われた場合に・・・
金利のみ比較して、1.7%と1.8%で、1.7%の方が安いのでなく、1.7%の方は保証料を入れてどうなのか?考える必要があります。

保証協会の保証料を入れた利息がどのようなものか?シミュレーションできる表を作りましたので、ご利用下さい。

■表の使い方(銀行返済一覧表)
1.ピンクのセルは、必要事項の入力セルです。
 ①融資先金融機関名
 ②借入額
 ③金利
 ④返済期間
 ⑤保証協会・保証率
 ⑥分割係数
※現在入っている数字は、サンプル数字になります。

返済表①

入力して、保証料こみで考えるとどうなるのか?シミュレーションして判断材料にして下さい。

■仕訳としては、
1.保証料は、借り入れて融資が入金された時に前払金で全額仕訳をします。
  預 金 ××  / 長期借入金
  前払金 ××
 (印紙代なども引かれる場合は、一緒に仕訳をして下さい)
2.以降、毎期前払金を借入期間で割った金額を「支払手数料」で計上していきます。
  支払手数料 ×× / 前払金 ××
3.月次決算をする場合は、エクセルの一覧での月額の数字で
  月初に 前払費用 ×× / 前払金 ××
  毎月  支払手数料 ×× /前払費用 ××
 (月初の仕訳は、なしで“前払金”で毎月仕訳でも大丈夫です)

■銀行返済一覧表(複数年)
5年分の表もつけてありますが、それ以上の期間が必要な場合は、2年目以降の1年分をコピーして追加して頂けたら何年でもシミュレーションできます。

返済表②

※入力が必用な箇所(ピンクのセル)以外は、保護をかけています。
※修正が必要な場合は、【校閲→シート保護の解除】で、保護を外して修正をして下さい。

【注意!】あくまで概算のシミュレーションですので、実際の融資で初月に返済額の差額調整がある場合など条件によっては、表の金額と差がでる場合もあります。

★銀行返済一覧表Excelサンプルデータのダウンロードはこちらから

借入が必要な場合は、返済計画なども立てて、できるだけ有利な条件で融資を受けて頂けたらと思います。

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管理部CD

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