中小企業の管理部門に必要なことって?

中小企業の管理部門の仕事(経理、総務、人事、法務等)の考え方ややりがいについて、中小企業・ベンチャー企業の
プレイングマネージャーとして30年近く働いてきた経験の中での役立つ知識、失敗談なども交えて紹介したいと思います。

経理・財務

【中小企業等経営強化法】って、知っているでしょうか?

国が中小企業等の“生産性向上の必要性”“業種横断的な経営課題への対応”“業種別の経営課題への対応”“中堅企業の重要性”を目的とした「中小企業等経営強化法」という指針を策定しています。

企業を支える

■経営力向上計画
・マーケティング・財務管理の高度化、人材の育成、生産性向上のための設備投資等
 「経営力向上計画」を申請して認定されると支援措置が受けられます。

(支援措置)
・固定資産税の軽減(3年間半額)
・計画に基づく事業に必要な資金繰り支援、補助金等において優先採択
・商工中金による低利融資
・中小企業信用保険法の特例
・中小企業投資育成株式会社法の特例
・日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
・中小企業基盤整備機構による債務保証
・食品流通構造改善機構による債務保証

(計画作成)
・自社の強み・弱みの把握、経営状態の見える化
・経験と勘による経営から、自社の強みをどのように収益につなげるかまとめる
・経営方針を明確にし、管理指標を特定→IT化など計画の策定
例:自動化された工作機械の導入、タブレット端末を用いた情報の共有など

■経営革新計画
・事業者が新事業活動を行い、経営の向上を図ることにおいて「経営革新計画」を申請して承認されると計画達成に向けて支援策の利用申請ができます。

(新事業活動)
・新商品の開発又は生産
・新サービスの開発又は提供
・商品の新たな生産又は販売方法の導入
・サービスの新たな提供方法の導入その他の新たな事業活動
※新たな取り組みは、申請事業者にとって新たな事業であれば、既に他社が採用している技術・方法でも同業の同一地域で相当普及しているもの以外であれば対象となります。

(支援策)
・中小企業信用保険法の特例
・日本政策金融公庫による低利融資制度
・日本政策金融公庫スタンドバイ・クレジット制度
・販路開拓コーディネート事業
・中小企業投資育成株式会社の特例
・起業支援ファンドからの投資
・特許関係料金減免制度
・経営革新計画承認企業シンボルマークの利用

(計画作成)
決められた申請用紙により「新たな取り組み」の内容により「相当程度の経営の向上」が見込める計画をたてて申請する。

■認定経営革新等支援機構による支援を受ける
・業績アップを図りたい、経営の向上を図りたい、財務内容や経営状況の分析を行いたい、というような経営課題がある場合に「認定経営革新等支援機関」に相談できます。

(認定経営革新等支援機関)
国が「認定経営革新等支援機関」として認定している専門知識を有し、一定の経験年数を持った金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などです。

(支援内容)
・経営状況の調査・分析を行い「見える化」
・事業計画の策定
・事業計画の実行
・経営革新等支援を実施した案件の継続的なモニタリング
・「中小企業の会計に関する基本要領」「中小企業の会計に関する指針」に拠った計算書類の作成と活用

中小企業等経営強化法とは、上記のように計画を申請して認定や承認を受けると色んな支援を受けたりすることができます。

計画の申請に多くのコンサルタント会社がセミナーなどを行っています。
でも認定や支援を受ければ、必ず補助金や融資が下りるのが絶対というわけでもありません。

一度、計画書を作成する事により自社の経営内容を数字として把握して見直したり、計画のために新規の事業やサービスを考えたり、その考えたことを、数字を交えた計画という形にする訓練にもなりますので、申請書の作成を是非お勧めします。
コンサルタントなしで、申請書は作成できますし、自社で一度申請書を作成すると申請自体が承認されなくても今後、違う補助金や政策金融公庫の新規事業向け融資の申し込みなど色んな書類の作成を作る練習にもなります。


経営指標を改善して新しい事業に進んでいくためには何が必要でしょうか?

決算書上では、利益が出ていたとしても実際は、経営効率が悪くなっている場合があります。
経営指標を良くするように思い切って改善策を図り、経営のスリム化をして次の成長を考えていくことも大切です。

ビル街

■経営指標をよくするために
1.不採算事業があれば、撤退をします。
不採算事業に投下している資本や人材を収益力のある事業に異動し、新しい事業を考えて再投資するため、不採算事業を売却できるのであれば、売却します。
売却が無理であれば閉鎖や撤退をします。
※最近は、中小企業向けM&Aの会社などもあります。

2.遊休資産がある場合は、売却します。
資金化することにより総資本利益率の改善をはかります。
使っていない土地や建物、撤退する事業の不動産、持ち合い株式など

3.不良在庫や滞留在庫を処分します。
在庫の管理コストとして倉庫費用や管理の人件費をなくすとともに資金化できるのであれば、資金化します。

4.不良債権を処分します。
売掛金など回収できないものは残しておくと資本効率が悪くなります。
決算上は利益でもありますので、節税のためにも償却します。

5.借入金の返済をします。
2や3で資金化できれば、その資金で借入金の繰上げ返済をして金利の支払いをなくして利益を増加させて資本効率をよくします。

6.損益分岐点を下げます。
①売上単価を上げる。
・品質の向上
・付加価値
・納期の短縮

②固定費を下げる。
・人権費の総額の見直し
・家賃の見直し、交渉
・業務の外注検討

③変動費を下げる。
・生産能力の向上
・歩留まりの向上
・仕入単価の値引き交渉
・仕入先の選定見直し

上記のように不採算事業から採算事業のさらなる効率化と新しい事業への変換を図っていくようにあらゆるものを見直して、改革をする取り組みから継続的な成長へとつながります。
参照:管理会計のための知識4:安全性の分析


会計ソフトの入力方法によって管理は楽になります!

今は、もうどこの会社でも会計は会計ソフトを使っていると思います。
ソフトによって若干使える機能は違うとは思いますが・・・
管理会計を導入するためにも、会計ソフトから楽に知りたい情報が取り出せるように入力の段階でひと手間かけることをお勧めします。
PC操作男性

■手間をかけても入力したいこと参考例10
1.売掛金、買掛金は、補助科目を使って取引先名を入れる。
 未回収先、未払い先を別に一覧を作成しなくても打ち出せるようにしておきます。

2.各科目、なるべく相手先毎に補助科目を作って入れる。
 例:普通預金―銀行別、借入金-借入先別、賃借料-事務所別、などなど・・・

3.定型仕訳や備考欄の登録をして、同じように入力する。
 備考欄の検索で抜けずに抽出するため

4.備考欄は、なるべく詳細に発生日・店名・担当者名などを入れる。
 例:○/○ 山田 AB喫茶 2名(取引先;三角商店)
 例:○/○ ☆デザイン設計 CD案件分

5.売掛金の手数料をひいてきたものなど入金時に処理しておく。
 例: 現預金 99,580 /売掛金 100,000
   支払手数料 420 /

6.受取利息の法人税は、入金のあった時に逆算して入れておく。
 例; 現預金 200 /受取利息 236
   所得税  36/
 ※所得税15%、復興所得税0.315%から
(100%-15.315%=84.685%→入金額÷84.685%で割り戻す 
 →200/84.685%=236)

7.部門や店舗が数か所ある場合は、部門別が入れられる会計ソフトなら入れる。

8.予算を入れられる会計ソフトは、事前に予算を入れておく。

9.自社で管理したい項目は、初期に科目がない場合、自分で作ること。
 例:設計外注費、デザイン費、サーバ費用などなど

10.売上、仕入の営業、バイヤー名を入れる
 担当者別、予算達成の集計などに使う。


会社によって、実際に細かく管理したいことは違うとは思いますので、あくまで参考ですが・・・・
何かを聞かれたときに会計ソフトを立ち上げて、その関連科目を見たら備考欄からや検索、集計でわかる、というのはとても便利で頼りになるものです。

そのためには入力時には面倒臭くても、なるべく細かく詳しく入れておくことで大まかなところはほぼ会計ソフトでわかって、その日付から実際の資料にあたることなどが可能となります。

最近は、備考欄の文字検索で抽出などもできるので、担当者名を入れておくと誰が○月~○月まで、経費をいくら使ったか?など個人別に集計が可能だったりもします。

また取引先名を入れる事により、昨年どこからお歳暮をもらったとか、どこへ広告を頼んだとか・・・色々な事がわかることにより、他部署の担当者からも管理部に聞けばなんでもわかる、と頼りにされます。


月次決算後の視点は?在庫はできるだけ少ないほどいいという事!

会社を安定的に成長させてつぶさないためには、自社の内容の分析をして、予算という計画を立てて、それがちゃんと実行されているか、毎月チェックするために月次決算をして、問題点はないのか?検討をする必要があります。
参照:月次決算をしているでしょうか?

会議

■検討する会議での注目ポイントは!
1.売上の予算は達成できたか?
 できなかった場合は、なぜか?
2.在庫の金額がふくらんでいないか?
 ふくらんでいる場合、それはなぜか?
3.経費も予算内で収まっているか?
 収まっていない場合、誰が使った何が収まっていないのか?なぜか?
4.売掛金はちゃんと回収できているか?
 売掛金の回収サイトは?未回収の対応は?
5.予算未達の場合は、予算が適正なのか?
 修正の必要はないか?

以上の5点がとても大事です。
もちろん売り上げが上がらなければならないのは、誰しもわかることですが・・・・
売り上げが予算を達成していても、在庫が積み上がり、売り上げの達成に気をよくして経費の管理ができていないなど損益計算書だけに注目して、売掛金が回収できていないと“黒字倒産”ということもあり得ます。
参照:損益計算書だけを見ていたら怖いですよ?!

どんなに利益が増えていても、その分在庫と売掛金が増えていたのでは、肝心のキャッシュ不足になります。

売掛金の未回収もまだ営業担当者は、厳しく管理されているかもしれませんが・・・・
在庫が見過ごされがちです。

在庫にも厳しい目を向けてください。
■在庫の注目点!
①入ってきてすぐに売れる回転率のいい在庫はどれか。
②1か月以上、滞留している在庫はどれか。
 ※各商品の滞留期間を把握しているか?
③月の最初の在庫金額と期末の在庫金額の差は、どうなっているか?

②の滞留在庫が多く、③の期末の方が増えているのなら、売れる見込み違いの仕入れが起こっているのかもしれません。
また売れ筋が足りなくなると商機を逃してしまいます。

売れない在庫を抱えて資金が足りなくなって、売れる商品を仕入れなくなると大変です。
できれば受注発注で在庫を抱えなくて済むのであれば、リスクが少なく業務ができます。

でも在庫を抱えざるを得ないのならば、売上の数字、利益の数字だけを見ていると怖い!ということをご理解いただき、在庫、売掛金の回収状況も毎月チェックして、適正か?検討する視点を持たなければなりません。


システム会社やデザイン会社が着手金をもらった時の売上と仕掛品の計上はどうなるでしょうか?

システム

システム会社やデザイン会社が仕事を受けて、完成までに数か月かかる時に決算をまたいだら、その開発にかかっている費用を仕掛品として資産計上しなければなりませんが・・・

では、着手金をもらっている場合は、どうなるでしょうか?
参考:システム会社やデザイン会社の仕掛品を簡単に計上できるExcel表と解説
    仕掛品って何?仕訳ってどうするの?を解決しましょう!

以下、3パターンほど例を出して説明します。

IT開発売上仕掛品
★開発費の計上と仕掛品の計上Excelサンプルデータダウンロードはこちらから

【条件】
開発期間:2月~6月の5か月間
決  算:3月末
開発費用:500万円
支払条件:2月に着手金100万円、6月納品後、検収→請求で残金400万円
    (月末請求、翌月末入金とする)
開発人員:2名
開発費用:@¥,2,500/時間
開発時間:640時間

上記条件で、A・B・Cのパターンの時どうなるか?
◆Aの場合
①決算時に着手金のみ売上計上をして、3月の進捗分は、未入金として仕掛品計上をする
(仕訳)
現預金 100万円 / 売上高 100万円
仕掛品  32万円 / 期末仕掛品 32万円
②決算時にそれまでの進捗度で売上げの計上をする
(仕訳)
現預金 100万円 /売上高 200万円
売掛金 100万円

◆Bの場合
進捗分を着手金でもらったとして、決算時に計上する
(仕訳)
現預金 100万円 / 売上高 100万円

◆Cの場合
進捗分を着手金でもらったとして、決算時に計上する
(仕訳)
現預金 100万円 / 売上高 50万円
         / 前受金 50万円

以上と考えられますが・・・・
Aの②とB,Cは、開発に要した時間分(労働分)の売上の計上をしていますので、仕掛品の計上は、不要です。

実際は、開発期間や支払条件の『契約書』を交わしたうえで、進捗度合いや総開発時間がわかるように工程表を作成して、合理的に説明できるようにしておく必要があります。

Aの場合は、①より②の方が今期の決算の売上高が大きくなりますので、毎月均等に進捗するのか?や開発に係る時間をちゃんと管理できているのか?によりどちらを採用するのか?で計上金額が大きく変わるということになります。
※均等に進捗するのか、実際の開発時間は来期のかかる時間が、まだ不明瞭であるのかにより、実質に近い計上をすると実の損益がわかります。

デザイン会社や設計会社、また着手金を含め3回払いなども同じですので、参考にしていただければと思います。


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